僕は私服で会社に行くまで10年かかった。
今月の日経COMEMOの投稿テーマは、 #女性に活躍してほしい理由 だった。
女性は〜、男性は〜と主語を大きくしたことで炎上させてしまった過去を持つ自分としては、正直あまり触りたくないテーマだ。
そもそも何をもって「女性」とするのか、から書きはじめないと色んな人に怒られそうな気もする。
そんなことを悩んでいたら、テーマの募集期間は終わってしまったのだが、せっかく途中まで書いていたので公開してみる。
ただし今日は、主語を小さくして自分の経験で。
■女性は振袖。男性はスーツ。
大人になってから、男女差については色々と考えさせられたが、その原体験は二十歳の冬。
大人の入口となる「成人式」でのことだった。
晴れの日である成人式。女性たちが色とりどりの振袖で着飾る中、男性のオシャレは(一部のヤンチャな人たちを除くと)ほぼスーツ一択。
成人式はひなまつりと違って、男女に関係なく祝われるはずだが「男女でオシャレできる幅がこんなに違うの?」と感じたことを覚えている。
事実、Googleで「成人式」と入れて画像検索をしてみてもこんな感じ。
成人式のイメージ画像で出てくるのは、ほとんどが女性の振袖姿。そこはもちろん、歴史的な背景があるが「成人式=女性が主役の日」という世間の印象は今も色濃く残っている。
そこで「成人式 男性」と入力してみる。
なんだろう・・・。
単純に色は少ないし、なんだかモヤモヤする。
■女性はオフィスカジュアル。男性はスーツ。
数年後、会社員になってからも、この傾向は続いた。
私服で働く会社員になりたくて、広告会社に入った。しかし初期配属は営業。「客先に出るのだから」と、僕にはスーツの着用が義務付けられた。
しかし同じ営業に配属された女性は、早々にスーツを脱ぎ捨てオフィスカジュアルに移行。
先輩もクライアントも、彼女を咎めることはなかった。
思えば入社式の時点から、男性社員は黒のスーツばかりだったが、女性社員にはカラーシャツや、黒以外のジャケットを着る同期もちらほら。職場にもやはり、男女でオシャレ幅の差があった。
■10年かけて、色を増やしていく
(今となっては昔のことだが)当時、新入社員の服装は白シャツに黒のスーツが基本。
若手が何か色のついた服を着るのは、勇気のいる行為だった。
「まだ仕事もロクにできない癖に」
そんなセリフが頭をよぎって、なかなか踏み出せなかったことを覚えている。
だから僕は、仕事で結果を出すごとに、徐々に私服に近づけた。
以前、Twitterのネタにもしたが、結果的に入社式から10年かけて僕の私服移行計画は完遂した。
しかし今思えば、「仕事ができる」と「服がカラフル」は別に相関関係はなく、別の話だった気がする。
■女性の活躍が、男性を開放していく。
女性を「職場の花」なんて、この時代に口が裂けても言えないが、職場で女性にだけオフィスカジュアルが許されていたのには、そういった背景があったのかもしれない。
もちろんそれがプレッシャーになり、服装や化粧など「女性だから」という理由でおしゃれが無理強いされていた側面もある。
それが今では、女性が職場でメンズスーツを着る時代だ。
しかし、もしまだ「女性だから」という理由で職場でのオシャレが許容される会社があるとしたら、 #女性に活躍してほしい理由 の1つには、男性をモノクロの世界から開放すること、が挙げられるかもしれない。
もちろん、そんな役割を女性に押し付けるのではなく、単純に男性が勇気を持って好きな服を着ればいいのだが、なかなかそうはいかない雰囲気が、男女格差ランキング153カ国中120位の日本には残っている気がする。
ちなみに、女性でも男性でもスーツが着たい人は着ればいいいいし、女性だからといってオシャレをしなければというわけではない。